自分は、博士(工学)です。
取得したのは、1993年(平成 5年)なので、実に27年前のことです。
恥ずかしながら自分の経歴については以下を参照ください。
自分は、工学系の大学院まで進み(修士)、その後、会社に就職したのですが、企業での研究が進むにつれて、ほかの企業の方々との交流が増し、その多くの方が博士号を持っておられ、自分も欲しいな、と単純に思って、取得を目指しました(若かったですね)。当時は、社会人ドクターなどという制度もなく、企業に勤めながら、論文をたくさん書き、それらをまとめて博士論文として仕上げ、大学へ提出することで博士号を取得しました。博士課程に入るなどということは金銭的にも時間的にも余裕はなかったです。
それで、今回は、この博士(工学)について考えてみます。
工学系の博士取得者の数字が出てましたので、引用してみます。
直近の平成29年度では、3,246人(うち論文博士は218人)。
※現在、大学院前期課程(修士)を終わってさらに後期課程(博士)に進学して博士となるのが普通なのですが、大学に論文を提出し、そこで審査を受けて、博士号を授与する方式もあります。これが論文博士です。全体の一割にも満たない数ですね。
過去の数字もありました。
これも引用してみます。
・昭和32年(1957)4月から平成30年(2018)3月までの授与数
126,074(うち論文博士は38,544)
・・・61年間で12万人が工学博士となっています。一年あたり約2000人。
それを、昔と最近ということでざっくりわけて比べてみます。
(昔)昭和32年(1957)4月から平成3年(1991)6月までの授与数
30,323(うち論文博士は17,120)
・・・34年間で3万人。一年あたり約900人
(最近)平成3年(1991)7月から平成30年(2018)3月までの授与数
95,751(うち論文博士は21,424)
・・・最近の27年間では9.6万人。一年あたり約3600人
最近の工学系の博士号取得者数は、以前の4倍。
数多くの博士が誕生しています。
巷間、よく言われるのが、博士号取得者の就職難。
博士になっても、アカデミックポストにつけず、不安定なポスドクという立場に滞留してしまう。あと、アカポスをあきらめて企業に行ったとしても、博士だからといって特別の手当てがつくわけでもなく、他の技術者と同じように扱われます。
・・・という、嘆きというか愚痴?をよく聞きます。
自分の場合、アカデミックポスト(国立大学専任講師)につけたにもかかわらず、さっさと見切りをつけ企業の研究職に戻りました。
そんな自分が考える博士号の意味。
それは、開発、技術、学問、理論、新商品などの責任者なのだと思います。
博士の数は増えましたが、それでも博士は選ばれた人なのだと思います。
選ばれた人は科学技術の発展に貢献しなければならない。
その責任があると思うのです。
決して、いいポストにつけるつけないという話ではなく、また手当を余計にもらえるなどというものでもなく、果たすべき責任を担った人たち、ということです。
ただ、生活できなければどうしようもないのですが。
博士について(終わり)