Blog 真っ青な空

工学博士が環境を考える

電池の研究(1)

最近の電池研究についてです。

 

電池の重要性は自分が言うまでもなく、日に日に高まっています。で、その主なターゲットはクルマです。現行のガソリン車並みの航続距離が電池で達成できれば、電気自動車(EV)へのインパクトは大です。今まで、内燃機関(エンジン)で行われてきたことがすべてモーターに置き換わり、クルマだけでなく様々なものに変革をもたらすことになります。

 

で、その電池研究ですが、現行のリチウムイオン電池の改良や、新しい全固体型リチウムイオン電池研究のほかに、最近では『全樹脂電池』研究が進み始めています。

 

全樹脂電池を開発するのはAPBというスタートアップ企業で、元日産の技術者が社長さんを務めておられます。

 

その会社に関連した新聞記事・・・

 

2020年3月4日;次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を行うAPBはJFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組慶應イノベーション帝人長瀬産業、横川電機の7社を引受先とする第三者割当増資により、総額約80億円の資金調達を実施。

2020年4月16日;日産自動車と三洋化成工業は全樹脂電池の要素技術をAPBにライセンス供与すると発表

2020年6月30日;次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発を行うAPBは豊田通商を引受先とする第三者割当増資により、追加の資金調達を実施。

 

着々とお金を集めて、量産体制を構築している、2021年4から量産だそうです。
同時に豊田通商にも出資させて、自動車への適用も視野にいれている様子。

 

全樹脂電池:

全樹脂電池はAPBと三洋化成工業が共同開発したバイポーラ積層型リチウムイオン電池で、集電体も含めた電池骨格を全て樹脂材料で構成されている。全樹脂電池には界面活性技術を持つ三洋化成が新開発した樹脂を用いる。活物質に樹脂被覆を施し、樹脂集電体に塗布することで電極を形成している。特徴としては、従来のリチウムイオン電池と同様の出力を確保しつつ、異常時の急激な発熱や温度上昇を抑制できる点がある。全樹脂電池は釘を打ったりドリルで穴を開けたりしても発火しないまた、独自の製造プロセスにより工程を短縮することで従来のリチウムイオン電池よりも大幅な製造コスト低減やリードタイム短縮が図れる。部品点数が少ないことに加えて、樹脂で構成することで電極を厚膜化し易いためセルを大型化し易く、高いエネルギー密度を実現している。
形状の自由度も高く、「リチウムイオン電池の理想構造」(APB)だとしている、・・・だそうです(ネットからの引用)

全樹脂電池の量産に王手、日産と三洋化成がライセンス供与 | 日経 ...

従来の電極(左)とバイポーラ電極(右)での電流の流れの比較
(従来は電流は電極につながるリード線を通って流れるのに対しパイポーラ型は面全体を通して流れる。)(ネットからの引用)

 

単セルの構造とモジュールとした状態
(積層するだけで、結線や収納箱が不要なので省スペースとなり、単位体積あたりのエネルギー密度が高くなる)(ネットからの引用)

 

研究が先行する全固体型リチウムイオン電池は、そのすべてが固体であることが売りで原料はセラミックスのような非常に耐熱性が高いもの。なので発火することはなく高い安全性が得られます。一方の『全樹脂電池』、こちらは全部樹脂です、なので耐熱性は期待できません。でも、そのネガはバイポーラ構造で、面で集電させることで克服できるとしています。

 

今後の動きですが、まずは、太陽光発電などの需給調整用やビル用といった中大型の定置用電源として実用化し、その後、自動車用などを含め、幅広い分野で応用を検討していく考えだそうです。

 

やはり定置用で安全性を見極めつつ、移動体(クルマなど)に展開、という流れかな、と思います。樹脂を使うことで確実にコストダウンは図られると思うので、今後、注目してゆくべき技術だと思います。

 

電池の研究(1)(終わり)

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