Blog 真っ青な空

工学博士が環境を考える

ノーベル賞

ノーベル賞のはなしです。

 

先日、自然科学系のノーベル賞の発表がありました。
でも、残念ながら、日本人の受賞はありませんでした。

 

今回は、すべて欧米の方々、アジア人はいません。
あと、女性が目立っていますね。物理学賞のアンドレア・ゲズ、化学賞のエマニュエル・シャルパンティエとジェニファー・ダウドナ。

 

でも、いずれの受賞も、なるほど、という理由だと思いました。

 

ノーベル生理学医学賞、米英の3氏に C型肝炎ウイルス発見
スウェーデンのカロリンスカ医科大学ストックホルム)は5日、2020年のノーベル生理学医学賞を、米国立衛生研究所(NIH)のハーベイ・オルター博士、カナダ・アルバータ大学のマイケル・ホートン教授、米ロックフェラー大学のチャールズ・ライス教授の3氏に贈ると発表した。授賞理由は「C型肝炎ウイルスの発見」。

 

 

 

ノーベル物理学賞、欧米3氏に、ブラックホール研究
スウェーデン王立科学アカデミーは6日、2020年のノーベル物理学賞を、ブラックホールの研究で業績を挙げた英オックスフォード大学のロジャー・ペンローズ教授、独マックス・プランク宇宙空間物理学研究所所長のラインハルト・ゲンツェル博士、米カリフォルニア大学のアンドレア・ゲズ教授の3氏に授与すると発表。

 

ノーベル化学賞ゲノム編集 酵素のハサミで切断、変幻自在「生命の設計図」
ゲノム編集は「生命の設計図」とも言われる全遺伝情報を自在に変えられる技術。ゲノム編集技術の一種「クリスパー・キャス9」は、独マックス・プランク感染生物学研究所所長のエマニュエル・シャルパンティエ博士と米カリフォルニア大学バークレー校教授のジェニファー・ダウドナ博士によって2012年に発表された。狙った場所を高効率に改変する技術として、ノーベル賞の有力候補として注目されていた。

 



日本人は、次回に期待かな。

 

去年はリチウムイオン電池の吉野さんが受賞されました。
今年のインタビュー記事が出てましたので転記します。

 

newswitch.jp

 

・・・

(記者)日本からの論文数減少など、研究力低下が懸念されています。

「企業論文の投稿が大学以上に減っており、産業界にも責任がある。研究成果を役立てるための製品も企業が考えるべきことだ。大学は役に立つか無関係に真理を探究することと産業界に提案できる芽を育てる二つの役目がある。現在は全ての研究者が真ん中をうろうろしていてまず成果が出ない。真理を探究する分野の研究者は役に立つかという点を考えなくてよい。両輪体制の徹底が研究力向上のカギだ」

 

(記者)ご自身が世界的な発明をできた要因は。
「もし電池メーカーに勤務していたらできていないだろう。旭化成という素材メーカーだからこそ節目でさまざまな材料を集められた。世の中にあるものの組み合わせだけでは独創的にならない。社内だからこそ開発中の材料の情報が手に入り、欲しい材料を形にもできた。また、今の大規模市場を想像できていたわけではないが予兆はあった。発想を形にできる環境とニーズの想定、二つがそろったことが重要だ」

 

(記者)経験を踏まえ、若手研究者への助言は。
「私は『実るほど頭を垂れる稲穂かな』という言葉が好きだが、実るまで頭を垂れてはいけないという意味もあると考える。若い人は反対を押し切ってでもやり遂げる気概が必要だ。35歳をめどにライフワークとする研究を始めるのがよい。30代は経験を積み一定の権限も持てるようになり、挑戦する若さもある。私自身も33歳でリチウムイオン電池の研究を始めた」

 

(記者)研究環境の整備も必要です。
「若手が自由に研究テーマを設定できる環境も重要だ。そのためには大勢のうち1人でも成果が当たればよいと割り切ることも必要となる。今年、文部科学省が自由で挑戦的な研究の支援のため新設した『創発的研究支援事業』は期間が7―10年間の長期という点が評価できる。従来、短期間での成果を求められることが多かった若手研究者にとって、安心して長期間取り組めることは重要だ」

 

なかなか意味深いお話です。

 

最近の大学の研究について、お話しされていて、真理を探究する分野の研究者は役に立つかという点を考えなくてよい、と断言されてます。

卓見だと思います。

端から見ていて、最近、大学の先生方が、ご自身の研究の産業界への貢献を懸命に説いておられる場面をよく見ます。でも、無用のことなのでは、と思います。真理を探究して、明らかにしていただければ、それでいいのでは? と常々思っていました。

 

あと、若い人の気概。
この気概を持つ人が少なくなっているかも、ということだと思うのですが、
でも、まだ、いますよ。

 

それと、大勢のうち1人でも成果が当たればよいと割り切ることも必要、という考え方。これはお金を配分する側の意識、それとそのお金を使う研究者の意識、その両方に対してですね。研究成果が出て、それがすごいインパクトがある、みたいな話は、最初はだれもわかりません。だから、割り切りが必要ということです。

 

なかなか含蓄のあるインタビュー内容ですね。
でも、これが日本の現状。

 

来年は日本人が受賞できるのか、微妙かもしれません。

 

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横浜の東京工業大学を訪問したときに、博物館すずかけ台分館を見学しました。
右側が、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典教授のメダル、左側は2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士のメダルです(どちらもレプリカ)。

 

ノーベル賞(終わり)

bluetech.hatenablog.com