Blog 真っ青な空

企業を定年退職したエンジニア、科学技術コンサルタントやってます。

アンモニアの意義

脱炭素社会に向けた新技術としてアンモニアが期待されています。

 

分子式が NH3で表される無機化合物。常温常圧では無色の気体で、特有の強い刺激臭を持つ、それがアンモニア。匂いがきついですね、あと毒性もあるので、日本では劇物指定されています。

 

そんなアンモニアの意義、について調べてみました。

 

船舶燃料としてアンモニアの利用

日本郵船/船舶の脱炭素化で燃料アンモニアを導入

国際海事機関(IMO)は2016年10月、船舶燃料に含まれる硫黄酸化物(SOx)の濃度を従来の3・5%以下から0・5%以下に引き下げることを義務付けた国際規制(SOx規制)を採択。20年1月から本格的な運用が始まった。18年4月には国際海運におけるGHGの総排出量を50年までに08年比で50%削減し、最終的に今世紀中の可能な限り早い段階で排出ゼロとする目標を掲げた。

アンモニアは燃焼させても二酸化炭素(CO2)の排出がなく、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として有望視されている。さらにアンモニアの原料となる水素にCO2フリー水素を活用することで、ゼロエミッション化も可能。

 

www.chemicaldaily.co.jp

 

 

アンモニア製造の原料にクリーン水素を使うことで、アンモニアを燃料として燃焼させても二酸化炭素的には問題なし、かつ、排ガス規制物質である硫黄酸化物(SOx)の排出もなし、ということです。

しかし、同じ規制物質である窒素酸化物(NOx)はどうなんでしょうか?、アンモニアを直接燃焼させて、発生しないのでしょうか?

それと、アンモニアが完全燃焼できるのか、とうこと。アンモニア自体に毒性があるので未燃焼のまま大気へ放出されると新たな問題が出てきそうに思えます。

 

 

こちらは、発電用の燃料利用についてです。現状、火力発電などで使用している重油などの燃料の代わりにアンモニアを使う、という話です。

 

発電所向け燃料としてアンモニアの利用

2050年に「脱炭素」をめざす 発電最大手のJERA

東京電力グループと中部電力が折半出資する国内最大の発電会社のJERA(ジェラ)は13日、国内外の事業で排出する二酸化炭素(CO2)の実質ゼロを2050年までにめざすと発表した。旧式の非効率な石炭火力発電所は30年までにすべて停廃止し、高効率タイプもアンモニアを混ぜる実証事業を碧南火力発電所(愛知県)で進める。40年代にはアンモニアだけを燃やす発電所に切り替えていく。

www.asahi.com

 

 

あと、水素キャリアとして使おうという話もあります。再生可能エネルギーを使って製造された水素を一旦、アンモニアに転換し、液化アンモニアとして輸送し、これを水素に再生する、ということです。その水素の利用は主に燃料電池です。

 

(出所:科学技術振興機構)

CO2フリー水素によるグローバルチェーン構想
(出所:科学技術振興機構

 

 

従いまして、脱炭素社会に向けたアンモニア』の意義は2つということになります。

1 新燃料としての利用 ~船舶、発電所への適用~

2 水素キャリア(エネルギー媒体)としての利用 ~燃料電池向け燃料~

 

新燃料としての利用は、インフラの新たな構築がそれほど大掛かりなものにならず、可能性がありそうです。水素キャリアは、その利用が燃料電池に限られ、限定的となりそうです。そして実際にアンモニアを使う際には、やはり、アンモニアそのものの毒性(刺激臭も含めて)が大きな問題になってきそうです。

 

アンモニアの意義(終わり)

bluetech.hatenablog.com