Blog 真っ青な空

工学博士が環境を考える

有機機能材料のこと

自分は博士(工学)です。
取得したのは、25年前。


その博士研究は有機機能材料についてでした。
有機フォトクロミック材料(光を照射すると化学構造が変化し、色が変わる材料)を書き換え型光記録(コンパクトディスク)に使おう、というものでした。商品化には至りませんでしたが。

 

その研究内容はざっとこんな感じ。

 

 

それで、今の研究現状はどうかな、と思って、特許を調べてみました。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

特許情報検索; 発明の名称;フォトクロミック
検索実施;2020年10月31日

 

 

で、出願件数の推移はこんな感じ。

f:id:BlueTech:20201031120829p:plain

 

2020年はまだ終わっていないので、若干は増えるのでしょうけど、ざっと見ると出願数は漸減の傾向、というべきでしょう。

自分が企業で研究していた頃と比べても少ないようです。

要するに企業の関心はそれほど高くない、ということです。

 

そして、肝心の特許の中身ですが、主には、やはり色調の変化を特徴とするものが多い。要するに太陽光が当たることで色が変化するフォトクロミック的な性質を利用したガラス製品とかサングラス、遮光フィルムあるいはインク、塗料とかです。

それらはすでに商品化されているのでその応用や改良品に関する特許ということになります。一方、残念ながら光記録についての特許はありませんでした。

 

ただ、いくつか今風の研究かな、と思うものがありました。

 

【公開番号】特開2020-108829
【発明の名称】紫外線照射のフォトクロミック検出
【出願人】パープルサン インコーポレイテッド
【要約】
 【課題】本発明は、電磁エネルギー(たとえば、紫外放射線)を検出するための方法と、そのような方法で使用するのに適切な物品とを提供する。
 【解決手段】この方法および物品は、紫外線Cなどの電磁エネルギーから得られる滅菌または消毒を検出するのに有用であり得る。滅菌または消毒の検出は、所望のレベルの滅菌または消毒が得られたときに曝露の中断を可能にする。エネルギーへの曝露を制御するためのフィードバックメカニズムも使用することができる。

 

・・・ウイルスの除去、殺菌の効果を視覚的に表すために、照射した紫外線量をフォトクロミック材料の変化を使うというものです。

 

【公表番号】特表2019-527250
【発明の名称】フォトクロミック水捕集プラットフォーム
【出願人】 ワーナー バブコック インスティチュート フォア グリーン ケミストリー リミテッド ライアビリティー カンパニー
【要約】
本出願は、化合物、組成物、化合物および組成物を含むフィルムおよび装置、ならびに水を捕集するためのそれらの使用方法を開示する。本出願はまた、光、熱もしくは電界、または光、熱および/もしくは電界の組合せへの曝露によってその活性化形態または双性イオン形態に可逆的に転換する基底状態を有する化合物を含む、光活性、熱活性もしくは電気活性フィルム、または光活性、熱活性および/もしくは電気活性フィルムの組合せであって、前記フィルムは、前記化合物の前記活性化状態は、前記化合物の前記基底状態より極性が高い、フィルムを開示する。

 

・・・何がいいたいのか、これだとわからないのですが、要するに光照射によって引きおこるフォトクロミック反応で、フィルム表面の親水性、疎水性が変化し、フィルム内部に水が蓄えられる、ということのようです。で、この手法を適用することで干ばつや砂漠化などを防ぐことができる、ということのようです。

 

前者の特許は、おそらくコロナウイルス対策で、後者の特許は、ある意味、地球温暖化対策ということになると思います。

 

古くて、忘れられた技術なのかもしれませんが、観点、視点を新たにすることで役立てられるということだと思います。ただ、この2つの特許、いずれも外国の企業が日本の特許庁に出願したものです。

 

日本の企業でないことがとても残念です。

 

有機機能材料のこと(終わり)