カーボンリサイクル技術の中身についてです。
大きく4つの領域(日本政府が示している技術領域)。
①化学品;ウレタンやプラスチックの一種でCDなどにも使われるポリカーボネートといった「含酸素化合物(酸素原子を含む化合物)」への利用
②燃料;光合成をおこなう小さな生き物「微細藻類」を使ったバイオ燃料や、CO2由来やバイオマス由来のバイオ燃料。ほかにガス燃料も。
③鉱物;「コンクリート製品」や「コンクリート構造物」への利用。具体的にはコンクリート製品などを製造する際に、その内部にCO₂を吸収させるもの。
④その他;バイオマス燃料とCCSを組み合わせる「BECCS」や海の海藻や海草がCO₂を取り入れることで海域にCO₂が貯留する「ブルーカーボン」など。
前回は②の燃料について調べました。
今回は、①の化学品についてです。
主導しているのは旭化成のようです。
比較的付加価値の高いポリカーボネートとウレタン樹脂の研究開発を進めています。
ポリカーボネートについてはすでにライセンスビジネス展開中のようです。
ほかにも三菱ガス化学が二酸化炭素(CO2)を化学原料などに有効利用する「カーボンリサイクル」の共同研究に乗り出しています。
また、研究レベルですが、パラキシレンの製造も検討されています。こちらもまた、化成品としては比較的付加価値の高い領域だと思うのですが、PETボトルの原料などに利用されるものです。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2020年7月14日、CO2(二酸化炭素)を資源として捉えて有効利用を図るカーボンリサイクル技術の実現に向けて、工場などからか排出されるCO2を原料としたパラキシレン製造の技術開発事業に着手すると発表した。富山大学、日本製鉄、日鉄エンジニアリング、ハイケム、千代田化工建設、三菱商事に委託し、2020~2023年度の4年間で実施する。事業予算は19億9000万円。
同事業では、CO2を原料としたパラキシレンを製造するための画期的な触媒の改良や量産技術の開発、プロセス開発を実施するとともに、経済性やCO2削減効果を含めた事業性の検討を行う。パラキシレンは、ポリエステル繊維やペットボトルなどの生産に必要となる化学品であり、現時点でCO2から工業的に製造する実用的な技術は確立されていない。NEDOは、日本の独自技術とすべく今回の技術開発事業を通して実用化を目指す。
脱石油の動きが急速に進んでいるように見えますが、化成品の生産量は莫大です。
そのすべてが置き換わることは容易なことではなく、付加価値の高い(コストが高め)の化学品から徐々に置き換えが進むものと思われます。また、その際には、種々の、まったく新しい技術が必要とされ、現れてくるのだと思います。
カーボンリサイクル(5)(終わり)