触媒のはなし、つづきです。
触媒という材料、どこで使われていて、将来はどうなるのか、ということ。
触媒学会のホームページからの引用です。
大きく分けると、自動車向けの排ガス処理、それと石油化学製品の製造用の2つが、現在の触媒用途となります。
自動車向け排ガス処理;
自動車のエンジンでガソリンが燃えて出てくる排気ガスには、窒素酸化物(NOx)と呼ばれる窒素原子と酸素原子が結びついた気体や、ガソリンの燃え残りが含まれています。これらは大気汚染物質であり、光化学スモッグや酸性雨の原因となり、地球環境や私たちの健康に悪影響を与えます。従って、これらの有害物質を取り除くために、自動車のエンジンとマフラーの間に、有害なこれらの物質を無害な二酸化炭素・水・窒素にかえてしまうハニカム触媒が組み込まれています。この触媒には白金やパラジウム、ロジウムなどの貴金属が使われています。
エンジンから吐き出される排気ガスを効率よくきれいにするために、触媒はたくさんの細かい穴があいている、ハチの巣(=ハニカム)のような形をした筒の壁に固定されています。細かい穴の中を排気ガスが通り抜けていくうちに、排気ガス中の有害な物質が壁に固定されている触媒(貴金属)とぶつかって、無害な窒素や二酸化炭素と水に分解されていくのです。自動車の中の狭いスペースにできるだけ多くの触媒を積み込むために、この穴は出来るだけ細くしてあります。
石油化学製品の製造用;
プラスチック製品や、服、スニーカー、洗剤、化粧品などの化学製品は全て石油からできています。これらの製品をつくり出すためには製品に合った原料が必要で、その原料は基礎化学品からつくり出され、その基礎化学品は原油を「蒸留」してつくりだされたナフサから作られます。このナフサから基礎化学品をつくり出す時と、基礎化学品から原料を作り出す時(化学反応させるとき)に触媒が使われます。
また、未来を創る触媒として代表的なもの。ひとつは燃料電池、そしてもう1つは光触媒。燃料電池はスペースシャトルや、究極のエコカーである燃料電池自動車(FCV)に搭載されています。一方、光触媒はセルフクリーニング機能を利用し、建物の外壁材やトイレの便器、タイル、空気清浄機などに利用されています。最近では太陽エネルギーを化学エネルギーに変換できる触媒として注目され、世界中で研究が進められています。
・・・・だそうです。ここで引用終わり。
将来のはなしのつづき。
少し、古いのですが、平成21年度成果報告書 情報収集事業 「触媒アウトカムローリング先導調査」報告書を見てみます。(2011年2月公表)
もしろん、燃料電池や光触媒はありますが、そのほかに、依然として排ガス浄化やCO2固定化やクリーン燃料製造などが挙げられています。ほぼ10年前の調査なのですが、今でもその認識は大きくかわりませんね。
また、同じ資料の中に、触媒の将来貢献を系統的に記した図がありましたのであわせて転記します。
ここで、注目するのは、やはりエネルギー関係の領域です。触媒に対する期待度もこの領域で大きいようです。特に再生可能エネルギーのところ。
触媒への期待、まとめたのが以下です。
【想定される将来の社会ニーズに応えるために期待される触媒技術領域】
●CO2削減技術
●有害物質の大幅削減技術
●石油に依存しない化学品製造技術
●化学プロセスにおける省エネ技術
●反応場のみを加熱するシステム
●少量生産工程の効率化技術
●省エネ、省資源型製造技術
また、今後の触媒に期待される機能には以下のような例がある。このうち特に、人工光
合成触媒は、“夢の触媒”とされている。
【今後の触媒に期待される機能】
●リサイクルしやすい触媒
●長寿命触媒
●100%選択性をもつ触媒
●高温耐性をもつ酵素触媒
●分離工程不要な触媒
●常温・常圧で反応する触媒
●人工光合成用触媒
人工光合成は、CO2と水を原材料に、太陽エネルギーを活用する形で化学品を合成する技術。
触媒と地球温暖化、環境問題、脱炭素化。
とても密接な関係があって、新しい触媒の発見が、地球環境問題を一気に解決してしまう、そんな期待も感じます。
触媒(2)(終わり)