時代をさかのぼりつつ、司馬遼太郎の歴史小説について書いています。
前回は戦国時代~安土桃山時代。
今回は、もう少しさかのぼって、室町末期。
『箱根の坂』(はこねのさか)です。
戦国大名のさきがけとなり、戦国時代の口火を切った北条早雲の生涯を描いた小説です。
https://historicalnovel.pw/shibaryotaro/hakonenosakajo.html
そのあらすじ;
応仁元年(1467年)。将軍後継問題が深刻化し、都を焦土と化す応仁の乱が勃発しました。足利義視の申次衆であった伊勢新九郎こと後の北条早雲も、戦乱に巻き込まれ、妹の千萱が嫁いだ今川義忠の領国駿河を目指して旅をするのでした。
今川義忠亡き後、駿河の実権を握った今川範満。京に戻っていた北条早雲は山中小次郎らを連れて再び駿河に下り、義忠と千萱の子竜王丸のために尽力します。早雲が駿河に来てから11年。ついに今川範満から守護の地位を竜王丸に取り戻すべく、早雲は動き出すのでした。
少ない租税で興国寺城の財政が逼迫する中、早雲は伊豆を手に入れなければならないと考え始めます。民衆から搾取するだけの領主を否定し、民衆の暮らしを楽にするため起ちあがった早雲。伊豆を手に入れます。
一方、関東では扇谷上杉と山内上杉との間で争いが絶えません。早雲は扇谷上杉に味方して山内上杉と戦うことになりましたが、扇谷上杉の当主定正が討死し、苦しい撤退戦を強いられます。伊豆に戻った早雲は急迫した財政の建て直しのため、関東に入ることを考えます。しかし、早雲が関東を手に入れることは世の秩序を壊すことになります。それでも、早雲は関東を手に入れるため、箱根の坂を超える決心をするのでした。
世はついに戦国時代に突入するのでした。
足利将軍下の室町幕府。その秩序がどう壊れてゆくのか、また、壊さざるを得ない、というか時代の流れで、そうなってしまった北条早雲。それは、なるべくしてなったのだ、と小説は言っている。そんな気がしました。
司馬遼太郎のこと(9)(終わり)