Blog 真っ青な空

企業を定年退職したエンジニア、科学技術コンサルタントやってます。

EV(電気自動車)と電力

EVのことを書いています。

 

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ときどき、自動車が全部EVに置き換わると、今の発電量では、まかないきれない。だからEVが普及することはなく、水素を燃として使うFCVとの併用にならざるを得ない、とか、マニアックで、まことしやかな議論がされてきました。

 

www.webcg.net

 

そのEV用の電力についての記事。

抜粋です。

・・・2020年末にトヨタの豊田会長が、「現在日本にある乗用車が全部EVであった場合、夏の電力消費ピーク時には10~15%電力が不足する。それを解消するには、原子力発電でプラス10基、火力発電であればプラス20基が必要」だと語っていました。

 

しかし、東京電力パワーグリッドが公表している『最大電力実績カレンダー』によると、2020年に東京電力管内で電力需要のピークを迎えたのは8月21日の14~15時で、その最大発電実績は5604万kWだった。ちなみにこの日の最大供給能力は6198万kWだったので、実はピーク時であっても10%程度の余力があった。

 

また、同じ日の1時間ごとの電力使用状況を見ると、使用電力が底を打った4~5時のそれは、ピーク時のほぼ半分の2870万kWにすぎない。電力使用量というのは、1日の間で50%も上下するということだ。豊田会長の言うとおり、ピーク時の不足分が10~15%程度なのだとすれば、「電力消費を1日単位でも平均化する(電力消費が少ない時間帯に余分に発電しておき、ピーク時の電力不足をまかなう)ことができれば、現状でも電力供給能力は不足しない」と単純計算することもできる。

 

また、スマートグリッドの発展応用型としての“ビークル・グリッド・インテグレーション=VGI”というやり方がある。VGIとは、直訳すると「車両(ビークル)と送電網(グリッド)の統合(インテグレーション)」である。たとえば本当に大量のEVが普及したとしても、すべてのEVが一斉に稼働することは現実にはありえない。日産によると、「リーフ」の1日当たりの“停車率”は現状で平均95%以上だそうだ。停車中のEVの大半はガレージや駐車場などで充電施設=送電網につながれた待機状態であるから、停車中の大量のEV(に内蔵されている電池)を統合して巨大蓄電池として使えば、ピーク時の電力不足も解消するし、不安定な再生可能エネルギーも無駄なく使える……というのがVGIの考えかたである。・・・記事抜粋終わり。

 

なるほど、EVを稼働させる電力はない、みたいな短絡的な議論は成り立たないようですね。実際、前提が「電気は貯蔵できない」という従来どおりの電力供給網なので、そんな議論になってしまうようです。

 

ドイツは、環境に熱心な国です。彼らの戦略は、太陽光で電気をおこし、送電網で供給するのですが、電力余剰が発生した場合は、この電気で水を電気分解し、一旦、水素に変換し、『貯蔵』することを考えています。この水素は燃料電池か、あるいは水素を燃料とした火力発電で、元の電気に戻すことができるわけです。

 

 

blue2020.hateblo.jp

 

そんなことも含めて考えると、近い将来、すべてのクルマがEVになったとしても電力供給は問題はないように思えます。そして、そうなるべく、新しい技術が次々と生まれてくるような気もします。

 

EV(電気自動車)と電力(終わり)