人生の岐路、
大学を受験しようとする際に、文系に行こうか、理系に行こうか、迷いますよね。
あるいは、理系には進んだのだけれど、果たして自分は理系人間なのだろうか、とか考えたり。
自分の場合、もともと文系的なことが好きで、文学や歴史、地理の本は今でも好んで読んでいます。ただ、理科の授業も好きでしたね。ああ、こういうことなのか、と理論を実験で確かめることは素朴に楽しかった。
で、結局、理系に進んだのですが、その勉強が面白いはずもなく、果たして、このままやっていっていいのだろうか、とずいぶん考えたものです。
でも、もう、その道しかなく、あるいは方向転換する勇気もなく、そのまま理系で、化学の勉強を続けました。結局、大学院まで行ったのですが、それはいい企業に就職するための切符をもらうため。それが唯一の動機だったと思います。
大学院を修了して、じゃあ化学のプロになったかと言えば、まったくそういうこともなくて、自分の専門性にはいつもコンプレックスを抱いていました。
それが、なんなく変わってきたのは、転職してからです。もう30代半ばでしたが、会社を変わって、まったくやったことのない領域で新しく、一から、勉強して、それを商品につなげるという仕事でした。これで、今までの実態のない自分の専門性を壊すことができ、新しい領域で、新しい自分を改めて組み上げることができました。と同時に、今まで見えてこなかった化学という学問の全体像が見えてきたように感じました(錯覚だったかもしれませんが)。
こんな経験をして、初めて、
ああ、俺は理系の仕事ができている、と思ったものでした。
それは、自分が学生の頃に、理系文系で悩んで、文系ではなく理系を選択したことについての結果だ、ということでした。
若いときの選択、
それが正しいのか、を実感するにはかなり長い時間が必要なのだ、ということですね。
理系文系(終わり)