Blog 真っ青な空

企業を定年退職したエンジニア、科学技術コンサルタントやってます。

新規事業のこと

新規事業に必要な「3つの視点」、という記事がありました。以前、企業に在籍時に新規事業に携わったこともあるので興味を引きました。

 

引用しつつ、要点をかいつまんで書いてみます・・・・


その視点は、「事業ミッション」、「事業バリュー」そして「事業フェーズ」で、それぞれ定義することです。これらが明確になり三位一体でないと、事業はだいたい迷走することになるそうです。

一つ目の「事業ミッション」の定義は、いつまでになにをなしとげるか、つまり「期限」と「約束」の定義にあたります。「そもそもなんのために事業を立ち上げるのか?」

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企業の新規事業では、個人の起業とは違って、「期限」と「約束」が課せられるので、よく考える必要があります。0→1の事業というのは「ニーズが存在するのかすら分からない」、市場がまだない事業です。一方、世の中にはすでに市場が立ち上がり、売上や利益が出ている事業もあります。したがって、会社から課せられた「期限」と「約束」に応じて、すでに市場が立ち上がっている事業に買収やコピーによって参入する、そしてそこにお金とリソースをつぎ込んでブーストするということです。

 

しかし、「期限」と「約束」、「いつ」までに「どれくらい」ほしいか決まったとして、では「どんな」新規事業を始めるべきでしょうか。大事なのはそれが「自分」にフィットしているか、ということ。自前でイチからつくるのであれ、M&Aであれ、その企業ならではの価値、つまり企業の「自分」に根ざしていなければ事業はなかなかうまくいきません。

0→1の場合は特に、突き当たる抵抗をぶち破って事業を進めるエネルギーがないといけないので、そもそも「自分」に合っていなければうまくいきません。0→1でなくとも、「自分」に合わない無理な多角化をして、結果として「自分」を見失ってしまう企業もあります。

 

企業で新規事業をつくる際、よくニーズ調査を元にしたり、社会課題やブロックチェーンやAIのように流行の新しい技術を起点にしたりします。しかしこのように外の情報から始めた事業は、往々にしてあまりうまくいきません。

「外の情報」を起点にすると他社と「おなじ」方向に向かってしまうからです。外の情報は他社にもみえていますし、そこにロジカル・シンキングを適用すると、他と「おなじ」、「どれでもいいもの」をつくってしまいます。

 

また、「自分」を起点にしていなければ他者以上のパフォーマンスが出せません。「新しさ」より「らしさ」とよく言うのですが、このスピードの速い時代、「新規性」はすぐコピーされて陳腐化してなくなってしまいます。しかし「自分」らしさが起点となっていれば、たとえコピーされても、さらに一歩先をいくことができます。

企業の新規事業は、「起業」や「アート」とはちがい、基本的に借りものです。多くの人の合意を取りつける必要がありますから、ともすると「自分」起点を忘れ、外部のデータに頼ったり、定石に照らして判断してしまいがちです。

 

しかしだからこそ、企業の新規事業では「自分」を意識することが重要なのです。

 

多くの企業がビジョンやミッション、バリューを定めていますが、自社にだけ当てはまるような「自分」発のミッションやバリューを定められている企業は稀です。自社が「自分」をよく分かっているかは簡単にチェックできます。ミッションやバリューを同業他社などと入れ替えてみればよいのです。

「借りもの」だからこそ「自分」をみつめよう
あなたが勤める会社のミッションやバリューを書き出してみましょう。
それは他の企業にもあてはまるものではありませんか?


もし他社にもあてはまるようなものだったり、他社と入れ替えても違和感がなかったら注意が必要です。

 

 

なかなか、耳が痛い指摘ですね。

・「そもそもなんのために事業を立ち上げるのか?」

これについて、実際、どれだけ考えているのか。単に、年に100億くらい売り上げが欲しい、利益率は10%以上で、とか。それで終わっている場合が多い。

・大事なのはそれが「自分」にフィットしているか、ということ

これも、あまり考えていない。というか、自分(自社)の技量、能力、特長がわかっていない。どちらかというと過小評価しがちで、 フィットしているという判断ができにくい。

・ロジカル・シンキング

これも、しがちですね。きれいに経営陣向けにプレゼン資料をつくると、どうしてもロジカルになりがち。そりゃそうですよね。ロジカルでないと理解してもらえない。

・「自分」を起点にしていなければ他者以上のパフォーマンスが出せません。
・企業の新規事業では「自分」を意識することが重要

自分を意識すること、とても大事だとわかっているのですが、その自分と世の中にある新しいニーズとどうつながってゆくのか、それが皆目わからない。多分、自分の起点がしっかりしていないから。事業開発を進めてゆくと、目先の利益がちらついて、自分を捨てたくなることもありますね。

・自社のミッションやバリューが、もし他社にもあてはまるようなものだったり、他社と入れ替えても違和感がなかったら注意が必要です。

これは、日本企業全般に言えるように思います。トレンドに乗っかる傾向が強い。ほとんどの企業のミッションやバリューを他社のものと入れ換えても違和感はないのではないでしょうか。

国連が『SDGs』を言い始めて、環境、脱炭素と日本政府が言い始めて、それに呼応して、多くの企業が、ホームページに載せ始めました。

これはその最たる例のように思います。
これは楽でいいんですよね。自分で考えなくてよいので。

ただ、国連が正しいかどうか、信じていいのか、だれもわからない。
にもかかわらず、その流れに迎合している企業の動きには危機感を覚えています。

SDGs(持続可能な開発目標)とは何か?17の目標をわかりやすく解説 ...

SDGsから考え始める『新規事業』には、自分らしさはないのかもしれません。

 

新規事業のこと(終わり)