Blog 真っ青な空

企業を定年退職したエンジニア、科学技術コンサルタントやってます。

司馬遼太郎のこと(8)

司馬遼太郎のことについて書いています。

 

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戦国時代から安土桃山時代歴史小説

今回は、関ケ原「城塞」

関ケ原」:徳川家康石田三成の対立を軸に、天下分け目の決戦となった関ヶ原の戦いを描いた作品。

あらすじです。
豊臣秀吉が亡きあと、豊臣家を守ろうとする石田三成と天下を奪おうとする徳川家康の頭脳戦が繰り広げられます。加藤清正ら秀吉子飼いの大名を味方に引き入れる家康と石田三成の正義の戦いが始まります。軍備を整えるため会津に戻った上杉景勝を討伐するために軍勢を東に進める徳川家康。それを西から攻めようとする石田三成。天下を二つに分けた決戦が近づく中、諸将は義の石田三成か、利の徳川家康か、どちらに味方すべきかの選択に迫られます。西軍率いる石田三成と東軍率いる徳川家康関ヶ原で激突。兵力でも地形でも西軍有利のはずが、開戦からわずか半日で東軍が勝利します。義によって動いた石田三成でしたが、小早川秀秋をはじめとする裏切りにあい、結局、利によって動いた東軍に敗れました。

 

豊臣家の家臣であった石田三成にとって挙兵は正義そのものであることは間違いない。しかし、その挙兵は、ほかの豊臣家臣、例えば、黒田長政福島正則に支持されることはなく、逆にその軋轢を家康に見透かされてしまいます。そして、関ケ原で勝利した徳川は、最終的に大阪城を攻め、豊臣家を滅亡させます。

 

その滅亡のさまを描いたのが「城塞」です。

その城塞のあらすじ;徳川家康の天下取りの総仕上げは豊臣家を滅ぼすこと。本多正純や崇伝の悪知恵を使い、豊臣から戦を仕掛けさせようとする家康の巧妙なやり口が描かれます。間諜として大坂城に送り込まれた小幡勘兵衛。東西手切れとなり徳川と戦うことになった大坂城。女性たちの感情が優先される城内で、悪戦苦闘する真田幸村後藤又兵衛などの牢人たち。徳川家康の巧妙な策により、大坂方は何の成果も得ることができず、大坂冬の陣を終えることに。講和の条件により、外濠だけでなく内濠も埋められてしまい、まったくの裸城となった大坂城にたてこもる豊臣秀頼淀殿後藤又兵衛真田幸村の諸将が善戦するも、徳川数十万の大軍には歯が立たず次々と討死し、大坂城は炎上します。そして、豊臣秀頼淀殿は自害して果て、徳川家康は盤石の天下を掌中に収めることに成功しました。

 

この関ケ原と城塞から見えてくるもの、それは戦国期を生き抜いた家康という人の超現実的な思考と冷酷な手段、ですね。それと、それを実行する忠実な三河武士団。

織田と豊臣にはそれがなかった。だから長続きしなかった。

そんなことを考えると、家康のそれは、日本での成功の一つのフレームなのだと思います。

 

司馬遼太郎のこと(8)(終わり)

司馬遼太郎のこと(8)(終わり)