環境規制動向を調べています。
その環境規制の一つにRoHS指令:Restriction of Hazardous Substances Directive(危険物質に関する制限令)があります。電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令です。RoHS指令は2003年2月に最初の指令(通称:RoHS1)が制定され、2006年7月に施行されました。その後2011年7月に改正指令(通称:RoHS2)を公布。RoHS1では有害物質として6物質が指定されていましたが、RoHS2では4物質が追加され、合計10物質が規制対象になりました。そして2019年7月22日から使用制限がはじまりました。
禁止物質と対象製品カテゴリーです。現時点で、あらゆる電気・電子機器がその対象となっています。
鉛、水銀、六価クロム、カドミウムは人体に毒性がある金属もしくは金属化合物です。
ですので、それらが規制されるのは当然のことかと。また、PBBやPBDEは、臭素を含み、プラスチック(躯体など)に難燃性を付与できることから使われてきたのですが、人体影響(毒性)があることから禁止されました。
一方、最近、追加された4種類。
・DEHP:フタル酸ジニエチルへキシル
・BBP :フタル酸ブチルベンジル
・DBP :フタル酸ジブチル
・DIBP :フタル酸ジイソブチル
これらは、金属を含まず、また臭素などのハロゲンも含まれていません。どんな毒性なのでしょうか? これらは、人間の内分泌系をかく乱し、健康に影響を与えるのだそうです(環境ホルモン物質)。もう、フタル酸エステル類は使えそうもありません。実際、代替剤として非フタル酸系が使われているそうです。これらは従来、プラスチックの可塑剤(プラスチックを柔らかくする添加剤)として使われてきました。大学の教科書にもその用途が記されています。長年にわたって使われてきたのですが、ついに規制されてしまいました。
また、ROHs指令の今後ですが、以下の物質が順番に規制されてゆく予想だそうです。
フタル酸はもうダメで、そのあと、アンチモン類。
また、気になるのがポリ塩化ビニルです。俗にいう塩ビです。
その用途は、衣類、壁紙、バッグ、インテリアなど多岐にわたります。なのでその影響はとてつもなく大きいものになると思います。
環境規制動向(2)(終わり)