Blog 真っ青な空

企業を定年退職したエンジニア、科学技術コンサルタントやってます。

「国民の文明史」を読む(7)

中西輝政著 「国民の文明史」を読んでいます。

f:id:BlueTech:20210209135411p:plain

 

 江戸、明治、大正時代と読んできて、次はいよいよ昭和です。

昭和は日中戦争で始まり、太平洋戦争での敗北を経験します。

 

満州国の建国、リットン調査団、そして国際連盟脱退、さらに日独伊三国同盟。昭和の大戦へと突き進んでゆきます。

 

「国民の文明史」では、この昭和初期の悲劇的な動きは、大正時代の3つの政策的な誤りの帰結であるとしています。

・金解禁、金融とデフレによる日本経済のグローバル対応

無産政党が躍進した普通選挙の実施、大正デモクラシーと言われた議会政治の改革

・国際協調を基本とした幣原外交

 

昭和初期には、日本軍、特に陸軍が統帥権参謀本部)の名のもとに、欲しい限りの横暴を繰り返し、戦争に突き進んだ、とも言われているのですが、これにはあまり触れられていません。おそらく、中西が言いたいのは、大正時代の政策や社会的な動きに対する反作用として、軍が非合法な動きをとった、ということのようです。

 

したがって、太平洋戦争の敗北につながる要因は、実は大正期の、未熟な政策の立案と実施である、ということです。

 

それは、グローバル化大正デモクラシー、国際協調など。

 

 

これらはほとんど欧米からきたものです。極端な欧化の流れです。

これを、日本は換骨奪胎することなく、移植してゆきました。

換骨奪胎(かんこつだったい); 骨を取り換え、子が宿る胎を奪(うば)いとるという意味から、先人の発想や形式を利用しながら、自分独自の作品につくり直すこと。

 

日本という国が行うべき、というか本来持っている「換骨奪胎の超システム」を作動できなかった。それが、昭和の大戦の原因であるということです。

 

「国民の文明史」を読む(7)(終わり)