人が住んで、仕事して、生活する環境は、当たり前ですがきれいな方がいい。
きれいな空、きれいな水、であるべき。
そのために、地球温暖化を防がなくてはならない、と言われています。
そして、そのためには二酸化炭素の排出を減らさなければならない、ということです。
このあたりの論理を今一度、振り返ってみます。
温室効果ガスの排出(これは、ほぼ二酸化炭素で、石油を燃やす、ガソリン燃焼させてでエンジンを動かすことで発生)⇒ 太陽光を吸収(二酸化炭素は赤外領域に吸収帯を持つ)⇒ 太陽光エネルギーが熱に変わる⇒ 地球表面で温度が上昇する⇒ 海水面の上昇・・・という論理です。
この地球温暖化は、気温や水温を変化させ、海水面上昇、降水量の変化やそのパターン変化を引き起こし、洪水や旱魃、猛暑やハリケーンなどの激しい異常気象を増加・増強させ、生物種の大規模な絶滅を引き起こす可能性などが指摘されているそうです。
おそろしい話です。
それを防ぐためには、人為的な温室効果ガスの排出(特に二酸化炭素)を抑える、あるいは今ある二酸化炭素を除去することが必要ということです。
地球温暖化の歴史(意識の変化)について少し調べてみました。
1827年 ジョゼフ・フーリエが温室効果を発表
1861年 ジョン・ティンダルが水蒸気・二酸化炭素・オゾン・メタンなどが主要な温室効果ガスであることを発見するとともに地球の気候を変える可能性を指摘
1938年 キャレンダーが二酸化炭素濃度と地球の平均気温の上昇を報告し、地球の気温と二酸化炭素の関係性を実測として初めて指摘
1940年代から1970年代 地球の気温は低下傾向。地球の気温上昇に関する議論や研究は下火になり、代わって気温低下に関する研究が盛んに。
1960年代 地球の気温低下に関する研究結果がいくつか発表
1972年 経済において環境に配慮する必要性を促した『成長の限界』出版
1979年 アメリカ合衆国大統領行政府科学技術政策局から「気候に対する人為起源 CO2 の影響」について諮問を受けた全米科学アカデミーが学術報告をまとめ、「21世紀半ばに二酸化炭素 (CO2) 濃度は 2 倍になり、気温は 3 ± 1.5 ℃ (1.5 – 4.5 ℃) 上昇する」とするチャーニー報告を発表。
1985年 フィラッハで地球温暖化に関する初めての世界的な学術会議としてフィラッハ会議が開催され、「21世紀半ばには人類が経験したほどのない規模で気温が上昇する」との見解を発表
1988年 アメリカ上院の公聴会においてJ.ハンセン(NASAゴダード宇宙センター)が「最近の異常気象、とりわけ暑い気象が地球温暖化と関係していることは99%の確率で正しい」と発言。「地球温暖化による猛暑説」と報道され、これを契機として地球温暖化説が一般にも広まり始めた
1988年 世界気象機関 (WMO) と国連環境計画 (UNEP) の共同で気候変動に関する政府間パネル (IPCC) が設立
1990年 IPCCは第1次評価報告書を発表。21世紀末までに地球の平均気温が約3℃、海面が約65cm上昇するとの具体的予測を発表。
1992年 リオデジャネイロで開かれた環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)で気候変動枠組条約が採択され、国際政治は全世界規模での地球温暖化対策が議題に上り始めた。
2001年 IPCC第3次評価報告書を発表。この半世紀の温暖化の大部分は、人間活動が原因と考えられる。人間活動が大気中の温室効果ガスの濃度と放射強制力を増加させ、21世紀中もそのトレンドを支配すると考えられる。平均地上気温は今世紀末までに、1990年に比べて1.4~5.8℃上昇すると予測される。これに伴い、海水準の上昇や大規模な気候変化が懸念される。
2006年 イギリス政府の委託によるスターン報告が発表。このまま温暖化ガスの排出を続ければ今世紀末にはGDPの20%にも相当する大きな被害のリスクがあり、温暖化を抑制するコストの方が遙かに小さくなる。「気候変動に対する早期かつ強力な対策の利益は、そのコストを凌駕する」と指摘。
2007年 IPCC第4次評価報告書(AR4)を発表。対策費用も含めた今後の被害を最小に抑えるには、現状よりも大規模かつ早急な対策が必要であることも重ねて指摘。
以上の経過をたどり、現在では地球温暖化が人為的なものであり、早急な対策が必要であることは国際的かつ学術的(科学的)なコンセンサスとなった、とのことです。
要するに1988年のJ.ハンセン博士の証言、それにつづくIPCCの設立。さらに2006年のスターン報告、2007年のIPCC第4次報告で、地球温暖化を防がねばならず、そのためには二酸化炭素排出は悪であり、やめなければならない、という全世界的なコンセンサスができあがった、ということです。
しかし、科学には絶対間違いないと言い切れない部分もあり、これがもし間違いだったらどうなんでしょうか? あるいは、二酸化炭素はそれほど地球温暖化に寄与してなかったら、あるいは、実は地球は温暖化してなかった、としたら。
だとしたら、二酸化炭素削減に関わる様々な技術が無駄ということになりかねない。
でも、世界的な流れ、そのコンセンサスがあるから、やらざるを得ない。
そんなことも含めて、それでもみんなが幸せになれる環境を良くするための技術を考えてみましょう。
地球温暖化のはなし(終わり)