ずっと、世界の環境規制について調査しています。
今まで、世界の環境規制を主導してきたEUとアメリカについてです。
彼らはグローバルスタンダードを野心的に作り続けてきました。
それで、今回は、台頭する大国、中国の動きです。
中国版のRoHS指令は、2007年3月1日に有害物質の規制法案「電子情報製品汚染制御管理方法」として管理が始まり、2016年に新たに「電器電子製品有害物質使用制限管理弁法」(以下管理弁法)が施行され、特定の有害成分が含まれる電器電子製品の生産、販売、輸入を管理しています。
規制対象となる有害物質は「鉛及びその化合物、水銀及びその化合物、カドミウム及びその化合物、六価クロム及びその化合物、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)」であり、化合物もその対象に含められています。
今のところ、フタル酸の類が中国にはなく、そのほかの規制物質の含有濃度も全く同じであることから、フタル酸の分だけ緩いということになります。
一方、EUのReach規制に対応するものとして「新化学物質環境管理弁法」(環境保護部第7号令)があります。これは2003年版「中国新化学物質法」(China NCSN).の改訂版であり、2010年10月15日より正式施行されました。EU REACHの原則や内容等が多く採用されたため、「中国版REACH」と言われています、ただ、EU REACHと比較して管理されている新規化学物質は極めて少ないようです。
また、最近の動きですが、中国国家標準化委員会は、2020年3月4日に、製品に含有されるVOCなどの有害物質の制限量に関する7件の国家強制標準(GB規格)を発行しました。いずれも2020年12月1日から適用が開始されます。
※VOC;Volatile Organic Compound, 揮発性有機化合物の略、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称であり、トルエン、キシレン、酢酸エチルなど
規制対象は接着剤、塗料、インク、洗浄剤で、それぞれに規制物質とその上限値が設定されています。まずVOCと定義された物質(VOCの定義は規制対象物質毎に若干異なります)の総含有量で上限値が設定され、次にトルエン、キシレン、ジクロロメタンなど具体的な物質名毎に上限値が設定されています。
これは塗料、塗装の業界や液体燃料を扱う業種など多岐にわたります。
環境規制動向(7)(終わり)