Blog 真っ青な空

企業を定年退職したエンジニア、科学技術コンサルタントやってます。

博士支援

自分は、博士(工学)です。

 

blue2020.hateblo.jp

 

 

なので、今、一生懸命学んだり、研究したりしている後輩たちのこと、
大変気になります。

 

その博士課程の学生に対する支援・・・

 

www.yomiuri.co.jp

 

政府は、博士課程に進学する大学院生に対し、支援を拡充する方針を固め、先進分野を専攻する院生約1000人に、生活費や研究費として1人あたり年230万円程度を支給するそうです。多くの院生はコロナ禍でアルバイト収入が減ったり、進路が限られたりして不安を抱えており、日本の科学技術力を支える若手研究者の「博士離れ」を食い止めるのが狙い。

 

実際、日本の博士取得者数は、漸減傾向です。

華々しいノーベル賞の陰で減少する日本の研究者、博士課程への進学阻む ...

2003年くらいがピークで、じりじりと減っているようです。政府の支援はこの博士離れを食い止めよう、日本の科学技術研究を活性化させよう、というものです。

 

これはいいこと、であるのは間違いない。
学費や生活費を気にせず研究に没頭できるし。

 

しかしながら、この博士離れ。
その根本的な理由は、日本の企業においては、博士という学位が、単に「修士課程修了者プラス3年」という位置づけとなっていて、学部卒や修士修了者より給与や昇進の面で優遇されることはほとんどないということです。つまり、3年余計に勉強したり、研究してもそれが評価されない、からです。

 

文部科学省が1996年から2000年に「ポスドク一万人計画」を実施しました。研究の世界で競争的環境下に置かれる博士号取得者を一万人創出するために、博士取得者を雇用するための期限付き資金を大学などの研究機関に配布したものです。

 

諸外国との単純な数比較で、推進した施策。
そのしわ寄せは実際、当時、博士となった若い研究者たちにきました。
(博士が1万人いても、日本には就職先がありませんでした)

 

そしていまだに、政府は博士取得者の数を増やそうとしているようです。

 

こんな過去を振り返ってみると、日本は、日本独自の科学技術文化を持っているように思えます。その文化は決して博士の数で推し量れるというものでもなく、モノづくりや進取の気質によって形成される、やってやろう、という意識、なのだと思います。それは、よい給料や待遇というのではなく、赤貧であっても世の中に貢献しようということ。

 

企業で研究をする博士たち、
待遇は悪くても、自分たちが技術をひっぱってゆく、という意識を持つべき。

 

そんな姿が、日本の科学技術文化なのかもしれない。

 

博士支援(終わり)