今回も、科学技術を支える「博士」についてです。
前回は、一万人の博士をアメリカの言うがままに作ってしまって、その使い道がなかった、という話を書きました。
で、その一万人の博士ですが、ごく一部は、大学などのアカデミックポジションに就き、ほかは企業に就職したり、あるいはベンチャー企業の設立に関係したりしているようです。企業が一般的に、新卒募集するのは、学士、修士までの学生で、博士についての募集はほとんどありません。したがって、博士号を持っているからと言って、特別な給与を出したり、特別な待遇をする、ということもありません。
それが、この20年くらいのはなしだったと思います。
それは、いってみれば、博士号取得者が、受け身に甘んじていて、社会全般の動きに振り回されていた、のかもしれません。でも、最近の大学ベンチャーを見てみると、積極的にリスクをとって、活動する動きもあるようです。ベンチャー企業の技術担当には、博士号取得者も多い。
ずっと安定志向で、変化を嫌いながら、旧来の製造業はやってきて、新しい博士取得者には冷たかったのですが、新興のベンチャーではそういうこともありません。
やっと、博士が主役になれる場所が現れたのかもしれません。
日本の科学技術を考える(4)(終わり)