Vlog 真っ青な空

工学博士が環境を考える

水素戦略の正しさ

環境を考える上で、日々使うエネルギーについて考えることは非常に重要なことだと思います。

 

ということで、将来のエネルギーとして期待される水素を例に日本とドイツの取り組み(戦略)について考えてみます。

 

 

日本は世界の中で、早くから水素に着目し、政府主導で水素戦略を作成し、技術開発を推進してきました。2017年12月に「水素基本戦略」を決定し、「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を2019年3月に改訂し、基盤技術のスペック・コスト内訳の目標を設定しました。今、それに基づいて様々な研究開発が行われています。

 図:水素基本戦略

 出典:経済産業省「水素基本戦略」

 

 

図:水素・燃料電池戦略ロードマップ

出典:経済産業省「水素・燃料電池戦略ロードマップ」

 

ただ、その利用分野は、ほぼ、エネファームとクルマ(FCV)に限られています。それだけでも十分インパクトは大きいのですが。

 

一方、EUのドイツ。最近、国家水素戦略を打ち出しました(2020年6月10日)。
その詳細はこちらの記事に書かれています。

それを紹介させていただきます。

 

www.econ.kyoto-u.ac.jp

 

一部を引用します。
・・・この国家水素戦略の特徴は、水素は基本的に再エネ由来(グリーン水素)とすること、水素は産業分野で活用すること、ドイツでも大量の水素輸入が必要になること、他国での水素製造のためにドイツの技術輸出を促進することが強く打ち出されていることである。そうです。

 

燃料電池自動車(FCV)用途を重要視する日本とは違って、ドイツの場合、主要な自動車メーカーがあるにもかかわらず、自動車が主たる水素のアプリケーションではなく、むしろターゲットはエネルギー多消費産業(鉄鋼、化学)であり、これらの産業にグリーン水素を活用させることで、2050年のカーボンニュートラル化を確実にさせるという方針である、そうです。

 

同じ水素であっても、どこから作られたのか、その履歴によって水素を明確に区別していることも特徴となっています。

 

f:id:BlueTech:20201010080322p:plain



また、別の記事。
ドイツの水素に対する考え方が書かれています。

www.econ.kyoto-u.ac.jp

 

自動車産業、すなわち、FCV(燃料電池車)に供給する水素をまったく考えておらず、むしろ太陽光やグリーン水素から作られた電力で人工的に燃料を製造し、それを内燃機関で燃焼させてクルマを走らせる、ことを想定しています。燃焼時には当然CO2は出るのですが、もともとCO2を原料につくられた燃料なので、カーボンニュートラルとなり、問題なし、ということになります。

 

 

逆に考えれば、ドイツの自動車メーカーはとっくにFCVはあきらめていて、電気自動車すらも考えていない。日本でよく議論される、将来のクルマ、果たしてFCVなのかEVなのか、の議論すらドイツではない、ということです。

 

太陽光電力やグリーン水素由来の燃料を使う限り、CO2排出にはなんの問題もないし、地球環境への影響もない・・・ドイツは、そんな水素戦略です。

 

日本の水素戦略はあくまでも、内燃機関を使うクルマをなくす、というのが前提です。それでFCVが普及するためには水素インフラが必須、ということで日本各所に水素スタンドを多く建設することが主眼となっています。

 

日本とドイツの戦略。
どちらが正しいのか、という議論はともかくとして、ドイツの戦略、非常に現実的のよに思えます。ドイツの自動車メーカー、VWやBMW。グリーン水素由来の燃料を使うために、ちょっとエンジンを改良するだけで今までどおりクルマを生産してゆけばいい。ただ、それだけ。産業構造の大変革というよりも電力を中心に据えて、グリーン水素、グリーン電気をたくさん使おう、というだけです。

 

それで実効的に二酸化炭素の排出を減らすことができる。

 

おそらくこれがドイツだけでなくEU全体の戦略になってくると思われます。
そのとき日本はどうするのか。

2017年に策定された水素基本戦略、変更もあり、なんじゃないでしょうか?

 

水素戦略の正しさ(終わり)

bluetech.hatenablog.com