Blog 真っ青な空

企業を定年退職したエンジニア、科学技術コンサルタントやってます。

カーボンリサイクル(7)

カーボンリサイクルについてです。

 

blue2020.hateblo.jp

 

 

以前、水素戦略について書きました。

 

 

blue2020.hateblo.jp

 

その中で、今年、ドイツの水素戦略が示され、日本のものとは異なっていることを指摘しました。

 

・・・・引用。

自動車産業、すなわち、FCV(燃料電池車)に供給する水素をまったく考えておらず、むしろ太陽光やグリーン水素から作られた電力で人工的に燃料を製造し、それを内燃機関で燃焼させてクルマを走らせる、ことを想定しています。燃焼時には当然CO2は出るのですが、もともとCO2を原料につくられた燃料なので、カーボンニュートラルとなり、問題なし、ということになります。

 

・・・引用終わり。

 

今まで、日本が主導する?、主導したい?、カーボンリサイクルの動きを書いてきましたが、ドイツの水素戦略は、改めてカーボンリサイクルと言わなくても、十分それを含んだものとなっています。

 

より具体的に、そのドイツの自動車用燃料についての動きを調べてみました。

 

ドイツでは、フォルクスワーゲングループに属している自動車メーカーのアウディが、e-Fuelと称する新しい自動車用燃料の検討を進めています。

 

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e-Fuel」イーフューエルとは、二酸化炭素と水素から製造される合成液体燃料のこと。この原料となる二酸化炭素は大気中あるいは工場などで排出されたものであり、水素も再生可能エネルギーから得られた電力で水から製造されたものとなる。したがって、e-Fuelを使用する限り(エンジンで燃焼させても)、地球上の二酸化炭素が増えることはない、ということです。要するに「カーボンニュートラル(炭素中立という)」が実現するわけです。また、この燃料をディーゼル燃料に混合して使用することで、完全にカーボンニュートラルとまではいかなくてもクルマから排出される二酸化炭素量を減らすことも可能となります。

 

また、最近、ポルシェもe-Fuelの研究を始めました。

ポルシェ、合成燃料eFuelの開発推進 [ ドイツ ]  <2020年09月04日>
ポルシェは2日、eFuelと呼ばれる合成燃料の開発推進を発表した。再生可能エネルギーを利用して二酸化炭素と水素から燃料を製造するeFuelは、基本的な性質としては石油から作られる灯油、軽油、ガソリンと変わらない。

「ハイブリッドのモデルは短距離を電気を使って走りますが、長距離走行においては燃焼エンジンに依存しています」「中期的に見て、この3つの駆動技術(フル電気、ハイブリッド、燃焼エンジン)が存続すると確信しています」という。

 

そして、日本の自動車メーカー。

トヨタ・日産・ホンダが本腰、炭素中立エンジンに新燃料e-fuel
日経クロステック <2020年08月03日>
トヨタ自動車日産自動車、ホンダはそれぞれ、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)の合成液体燃料「e-fuel」の研究開発に本腰を入れる。エネルギー生成段階を含むハイブリッド車(HEV)のCO2排出量で、電気自動車(EV)を下回る水準を目指す。2030年に一層厳しくなる環境規制に備える。日系3社は、e-fuelの効率的な合成法や使用法、事業モデルなどの研究にそれぞれ取り組み始めた。3社ともに、HEVを30年のパワートレーンの軸に据える。

 

先行するアウディは、30年にかけて厳しくなる欧州の環境規制に、いち早く備える。コストや航続距離などで課題が残りそうなEVの「一本やり」で規制に臨むのは、リスクが高いと考えている。

 

EU、温暖化ガス55%削減 2030年目標引き上げ

www.nikkei.com

 

日系メーカーがアウディの動きに追従し始めたのは、BEV、FCVの技術的難易度(コスト含めて)と環境規制(二酸化炭素の排出削減)の急速な動きに危機感を抱いたということになるかと思います。EVがらみのクルマ(内燃機関のない)だと、既存の自動車メーカーの強みが生かせない、新しく形成される市場の中で戦ってゆかなければならない。そんなことも思うと、旧来のエンジン(内燃機関)技術が生かせる「e-Fuel」は、今、とても魅力的なのかもしれません。

 

カーボンリサイクル(7)(終わり)

※次回はこの「e-Fuel」の実態、内容について調べてみます。

bluetech.hatenablog.com