Blog 真っ青な空

企業を定年退職したエンジニア、科学技術コンサルタントやってます。

触媒(1)

このブログ。
主に『環境』について書いています。

 

その環境を維持したり、よくする大事な技術の一つに『触媒』があります。

これは自分が専門とする領域の一つでもあります。

 

ということで、

まず、その触媒とは? ということについて、お話させてください。

 

「触媒は、化学反応においてそのもの自身は変化しないが、反応速度を変化させる物質」

 

自分はかわらないけど、その周りでおこる化学反応を促進するもの、ということです。
反応の鼻薬? 助っ人? 縁の下の力持ち? そんな感じですね。

 

少し、難しく書けば、下の図のような役割を果たすということです。

 

 

 

反応が起こるとき、だいたい外からエネルギーを与えてやる必要があります。これをエネルギー状態で書いたのがこの図です。反応の進行とともに、エネルギーが与えられ、高いエネルギーレベルに物質が変化してゆきます。それで、その壁を乗り越えるとやっと反応の終結に向かうわけです。そこで、反応物質と生成物質のエネルギー差に応じて発熱であったり吸熱がおこることとなります。でも、まず必要なのは外部からのエネルギー供給であり(これが活性化エネルギーに相当)、それが低ければ低いほど、反応しやすいということになります。

 

この活性化エネルギーの壁をなくす、もしくは低くする役割を果たすのが触媒というわけです。

 

これが、環境となんの関係があるのか、ということですが、この活性化エネルギーの低減が、ずばり省エネであり、省電力ということになるので、これはそのまま二酸化炭素の削減、環境の維持につながってゆきます。

 

また、もっと根本的には、安定なものから、ちょっと不安定なんだけど存在しうるものへの転換、要するに図の逆方向ということですが。これも触媒が存在することで可能で、化学物質を転換させることでエネルギーを蓄えることができる、ということになります。

 

例えば、水。

これは非常に安定な物質ですが、触媒の存在下、電気的に分解し、酸素と水素にすることができます。ここで得られた酸素と水素は水よりも不安定(=エネルギーを吸収した状態)で、電気分解時に与えた電気エネルギーを変換したことになります。水素や酸素がエネルギーキャリアになっているわけです。

 

そんなことを考えていると、この地味な触媒という材料、脱炭素時代、再生可能エネルギーの時代のとっても大事な技術のように思えてきます。

 

 

触媒(1)(終わり)