「世界の工場」として驚異的な経済成長を遂げた中国。
2010年にGDPで世界第2位の経済大国となりました。
ところが近年は、成長を支えてきた大量投資と輸出主導の経済発展モデルが行き詰まりを見せ、経済成長の伸び率も鈍化し、中国の衰退が『期待』とともにとりざたされることもあるのですが、現在、中国はイノベーションによる発展、そして戦略の転換を目指しているのです。具体的にはデジタルエコノミーを経済成長の新たな機動力と位置づけ、デジタル技術の開発および社会実装によって新たな未来像を描こうとしています。
『チャイナテック: 中国デジタル革命の衝撃』(趙 瑋琳 著、東洋経済新報社)の書評記事がありましたので紹介します。
・・・・中国のデジタルエコノミーといえば、多くの方が思い浮かべるのはテックジャイアント4社の頭文字をとったBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)。
また、TMDPが、BATHのあとを追い、さまざまな分野でシェア争いやユーザー争奪戦を繰り広げている。
TMPDのTは、は動画配信アプリ「ティックトック(抖音)」とニュース配信アプリ「今日頭条」のイニシャルで、アプリを提供しているのは世界最大のユニコーン企業といわれるバイトダンス(字節跳動)。
Mは2社のことで、一つは出前アプリケーションの成功で中国のデリバリー市場を席巻した「メイトゥアン(美団)」。もう一つはスマートフォンメーカーのシャオミ(小米)社です。同社の英語表記は「Xiao“m”i」で、「M」を自社のシンボル文字としています。
最後のPはEC新興勢力の「PDD(拼多多)」です。PDDは新興企業の上海尋夢信息技術が運営するEC。
で、この記事の最後では、こんなことを言っています。
政治的な問題もあり、中国や中国人について複雑な感情を抱いている方もいるかもしれない。だが、少なくともビジネス的な意味では、中国を客観的に捉え、正しく理解することがまず大切なのではないだろうか?・・・・・・・・・
2005年くらいだったと思うのですが、以前勤めていた会社の会議で、中国製品が話題になったことがありました。
完全な模倣で、それも粗悪品。
こんなものが商品になるのか、そんな雰囲気でしたね。
この印象が強くて、中国製=粗悪、という図式が、頭の中に刷り込まれたように思います。それと同時に、中国の技術をいつも下に見る癖も。
当時は完全に侮ってました。
日本と中国では、モノづくりについては圧倒的な差がある、と。
それから15年あまりが経過したわけですが、もはや、デジタルエコノミーの主役は中国企業。最先端技術は中国にあるようです。
記事では、穏やかに、『少なくともビジネス的な意味では、中国を客観的に捉え、正しく理解することがまず大切なのではないだろうか』と遠慮がちに述べているのですが、実態は、中国なしには科学技術の発展はない、と断言していいのかもしれません。
中国企業のこと(終わり)